家系図作成で戦死した先祖と出会う
家系図作成に取りかかり、戸籍を辿っていくと、高い確率で戦死した先祖に出会います。
戸籍には亡くなった場所が記載されているため、その時点で「いつ・どこで亡くなったのか」が具体的に知ることができるのです。
私の母の兄(伯父)の戸籍には、
「昭和二十年四月二十八日時刻不明北部ルソン島イムガンデ戦死」
と記されていました。
ルソン島北部の戦いといえば、太平洋戦争末期の1945年1月から終戦まで続いた、日本軍による悲惨な「持久戦」として知られています。
アメリカ軍の上陸後、日本軍の多くは補給を断たれた山岳地帯の中で、食料も物資も自ら調達し、永久に戦い続けろという「自活自戦」を強いられ、戦闘だけでなく、餓死やマラリアなどの病死によって多くの兵士が命を落とした戦いでした。
しかも、伯父が亡くなったのは終戦のわずか3か月前。
戸籍を通してこの事実を知ったとき、戦争という出来事が、初めて現実のものとして胸に迫ってきました。

軍歴証明という存在
伯父のことをさらに調べていく中で、「軍歴証明」という資料の存在を知りました。
これは、昭和6年から20年までの約14年間、旧陸海軍に入隊していた軍人について、召集から除隊までの履歴をまとめた公式記録で、もともとは、旧軍人の恩給や年金、叙勲、被爆者健康手帳などの申請に必要なため作成されていたそうで、現在は各都道府県や厚生労働省が管理・発行しています。
この軍歴証明を取得すると、
・いつ入隊したのか
・どの地域でどのような任務に就いていたのか
・最終的にどのような経緯で亡くなったのか
など、より詳細な履歴を知ることができます。
ただし、太平洋戦争末期のフィリピン各地や硫黄島などの激戦地では記録が簡略化されていることが多く、また終戦間際に入隊した方の記録は残っていないケースもあるようです。
軍歴証明申請用紙の入手方法
軍歴証明は、終戦時(昭和20年8月15日)に本籍があった都道府県で管理されています。
申請書の様式は県ごとに異なるため、WEBで検索する際は
「〇〇県 軍歴証明申請」、または
「〇〇県 軍歴資料調査申請書」
と入力して確認してください。
※各県の電話での問い合わせ先
「厚生労働省 各都道府県 軍歴証明担当課一覧」
申請できる方
(1)旧軍人本人が生存している場合
① 本人
② 本人から委任を受けた方
③ 配偶者、六親等内の血族、三親等内の姻族(本人が病気等で申請できない場合)
(2)旧軍人本人が亡くなっている場合
① 配偶者、六親等内の血族、三親等内の姻族
② 上記の方から委任を受けた方
③ 上記の方の代理人(病気等で申請できない場合)
※六親等内の血族 三親等内の姻族とは(厚生労働省)
※申請には、調査対象者の氏名、生年月日、没日と、終戦時点での本籍地が必要となります。
(下記は長野県の申請書見本)

郵送時に必要な書類
1.軍歴資料調査申請書(軍歴証明申請書)
2.申請者本人確認書類(免許証・マイナンバーカード等)のコピー
3.対象者との関係が分かる戸籍(コピー可)
一緒に簡単な系図を同封するとわかりやすいかもしれません。
これらを同封し、各都道府県指定の宛先へ郵送します。
(事前に電話での問い合わせが必要な場合もあるため、必ず各県のWEBをご確認ください)
これらの申請書が担当係に届くと、交付費用と支払い方法についての通知があり、支払いが完了すると1週間~数か月後には手元に届きます。
旧海軍関係の軍歴について
旧海軍の軍人等に関する軍歴は、下記の厚生労働省が窓口となりますので下記にお問い合わせください。
<問い合わせ先>
厚生労働省 社会・援護局 援護・業務課 調査資料室
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
代表電話:03-5253-1111(内線3487・3484)
直通電話:03-3595-2465
今だからこそ手元に残したい戦争の記録
戦後80年を迎え、軍歴証明を申請できるのは、
旧軍人等の配偶者、六親等内の血族、三親等内の姻族に限られているため、数十年後には取得できない書類となる可能性もあります。
この戦争を「過去の出来事」にしないためにも、
そして先に生きた人たちの人生を知るためにも、
ぜひ手元に残しておいてほしい、非常に貴重な資料のひとつです。
